2013/11/10

用いられて終わったこと



県大会の朝は4時に目が覚めた。オリオン座がとても美しく見えた。バタバタしているうちに授業は終わり、そしてバタバタしているうちに1日が終わった。午後の全体会では、あまりの眠さ(だって前の晩10時まで仕事してたから)に、半分寝そうになっていたけど、なんとか持ちこたえた。

特別な、ということもあってか、本当にこれでもかというぐらいに、いろんなものに引っ張られた。
細案を立てたら「一言一句間違えずにその通りに授業を進めろ」と言われる始末。模擬授業で流れの確認を始めると、「その言葉はシナリオと違う」とか言い始められる。関係者はまだまだ私にやってほしいことがあったようだけど、「体調が悪いので…」というのを口実に、早めにお引き取り願った(といっても8時)。実際、風邪、睡眠不足、栄養とれない(食事があまりとれなかったから)というので弱り切っていた。
当日の朝は朝で、子どもを置いておいて「もう一度授業の確認を…」と言われた。ちょっと模擬授業をやったところで、もう怒りが抑えきれなくなり、「すみませんが、もう子どもを呼んできても良いですか」とつぶやいた。関係者はとても残念そうな顔をした。あぁ、あなたがたは最後まで、この授業を手放さないのか、と思うと悲しかった。

子どもたちには、あくまで日常の中の1日、1時間なのだ。お客さんが来るなんて、おまけでしかないのだ。それにこっちが一言一句間違えずに言ったところで、子どもがどう反応するのか。シナリオ通りにいくわけがない。なんでそのことがわからないのだろう。子どもを放り出しておいていいと思っているのか。お客さんがたくさん来る朝、学校はいつもと違う雰囲気で、しかも先生がいない。そのことで不安に思う子がいるかもしれないということを、ちらっとでも思わないのか。第一、あなたがただって同じ教師じゃないのか。そのことがわからないのか。

とても申し訳ないけれども、私は学級の予定通り、子どもをテラスに連れ出して、大根の様子を観察させた。一通り大根を見て、間引きをさせて、教室に戻し、次の時間の用意をした。
トイレから戻ってきた子どもたちに、「朝の歌、歌ってなかったねぇ」と言って、参観者が見ている前で朝の歌を歌った。そうしていつもどおりに授業は始まり、終わった。(ちなみに朝の歌で歌ったのは『おはボン』。こうしておはボンは近江の国にて広まる…ことになるかもしれない。)
私の授業はといえば、「まぁ、今までの中では一番、見るに堪える授業」だった。ここまで積み上げられてきたものも見せつけられた。よいことも、悪いことも。ほとんど毎年研究授業をやってきたけど、やってよかったと思える授業は、今回が初めてだった。

終わってから、本当に打ち上げられた。打ち上げの席、最後のボスの「スミレさん、胴上げしたって」の一言で、本当に胴上げされたのだった。退職者と運動会の体育主任以外で胴上げされた人を見たのは初めてだ。ていうか、人生で初めて胴上げされた。学年の先生に「あと5cm高かったら、天井に顔ぶつかってましたよ」と言われた…。同僚たちにも本当に感謝。


前日の夜遅く、もうこれ以上自分にできることはないと思ったとき、最後にしたのは、祈ることだった。教室のオルガンでAmazing Graceを弾き、祈った。おはボンを弾いて歌った。主がともにいて働いて下さることを感謝することのみだった。何かがひらかれる思いがした。
どれだけ準備に多くの人が関わっても、結局授業は、授業者と子どものものだ。10人来ようが、100人来ようが、総理大臣が来ようが、私と私の子どもたちのものだ。そしてそこに主がいて働いて下さることを私は知っているし、主に委ねて自分の仕事をしていくだけなのだ。

大会も私が受けたのではない。授業も私が受けたのではない。全ては主の計画のうちにあったこと。そして私が偶然に用いられ、守られて終わった。全ては神のなさったことだ。


写真は、その日の夕方に立ち寄ったコンビニから見た空。いつも通りに日が暮れ、夜が始まる。いつも通りというものは、こんなに美しいものなのだと改めて思った。

10 件のコメント:

  1. 「子どもたちには、あくまで日常の中の1日、1時間なのだ。お客さんが来るなんて、おまけでしかないのだ」

    ホンマにその通りです。主人公は子どもたち。参加者はもっと謙虚にならんといけませんね。学校も普段以上に飾り付けたり、掃除したりするでしょう。そのまんまでええやんと、言い続けましたが、自分たちのための「おもてなし」をやりたがるんですね。これが。

    私は授業どころか、研究所や研究大会の発表ですら、全くリハーサル通りに喋ったことなんかないですよ。ご安心を。

    お疲れさまでした。

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    1. Saltさん

      勝手に掲示物を外されたときはさすがに激怒しましたが、言う気力もなかったです。掃除は「人を迎えるときの作法」として子どもに見せる必要はあるかと思いますが…。もしかしたら、ただの紙切れ1枚でも子どもにとても大切なものかもしれないんですけどね。

      私はSaltさんの域まではまだまだ遠いです。しゃべるとくどくなってしまうので、修行がいるなぁと改めて思いました。言葉は難しいですね。

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  2. 硬派銀じ郎2013/11/11 7:56:00

    お疲れ様でした。
    主にあるよい経験とされたことと思います。

    指導助言者の方?校内の研修担当?…よかれと思って熱心に話されるのでしょうが、
    まあ、本末転倒ですね。

    胴上げ、いいですね。
    私も何か仕事をした後は、やって、と頼んでみようかな。
    自分から言ったら、ばかですね、ははは。

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    1. 銀じ郎さん

      実は音楽科の県大会でして、研究部から授業担当の方が大勢来られていたのです。一度もクラスの子を見ないであれこれ言われたので、頭に来ました。研究部が主導になるので、学校は基本ノータッチなのです。うちの同僚や管理職も「やりすぎやろ」とあきれかえる始末でした。指導助言者も、たぶん内心ではあきれておられたのでは…と思います。
      そういえば、今年は神戸が音楽の全国大会でしたね…

      今年は体育主任も女性だったので、男性が「セクハラにならんか?」と心配そうにしながら胴上げしていたのが印象的でした(笑)やる方もされる方も何かと愉快です。胴上げ。

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  3. 感動で胸がいっぱいです。
    関係者は誰も知らなくても、すみれさんが、主がそこにいて、働いてくださってることを知っていて
    このように発信してくださったこと、そこに大きな大きな意味があると思いました。
    とても嬉しいです。すみれさんを誇りに思います。
    背後におられる主を誉め讃えます。
    こうして、密やかに、主の栄光が顕されることを知りました。
    限界の中で主は働かれるんですね。
    本当にお疲れ様でした。

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    1. まこさん

      ありがとうございます。
      常に主とともにあるということは、こんな小さな一瞬にも、主が働いておられることを知っているということなのかなと思います。
      何より、弱いものに働いて下さる主ですから、自分が弱くくじけそうなときほど、感謝でいっぱいになります。
      個人的な事柄ではありますが、あえてこうやって記して証することを大事にしたいです。

      ちなみに、今は中耳炎(子どもか!?)になっていますが、これもまた、休みなさいと主がおっしゃっているのか…

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  4. 硬派銀じ郎2013/11/12 22:39:00

    そうです、神戸は全音研でした。
    ちなみに事務局長のような役で仕事をした彼とは同じ勤務校です。

    彼は、私が絶賛する音楽会をする音楽専科です。素晴らしい音楽専科ですね。
    学級担任に未練はないですが、彼と音楽会をできる担任は、ちょっと羨ましいです。

    全ては主の配材ですよね。

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  5. どんな方か、とっても気になります。なんせ、我が県は「専科を置かない」がモットーですから…。専科の方がどんなふうに授業をされるか興味があります。
    音楽専科が素晴らしい方だと、きっと学校の雰囲気も変わるでしょう。音楽という教科には、それだけの力を感じます。

    この大会の授業者、授業校の担当者という仕事は、まさに主によって与えられたものだと感じました。私は音楽の免許もないし、まだキャリアも浅いし、ただ好きだというだけの人間です。銀じ郎さんも、今のお仕事はきっと主から与えられたポジションなのでしょうね。ブログを拝見していてそう思います。

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  6. 音楽や図工に限らず、教科の専門性の高さというのは、入門期であればあるほど大切だと思います。専科にその専門性があるかどうかは別として、音感のない担任が音楽をやるのが素晴らしいとも思えません。難しいところですね。いずれにせよ、真にプロフェッショナルであることは神の賜物なのです。

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  7. 確かにそうですね。1年生をもって、あと養護学校での教育実習で、いかに教科の専門の基礎をきちんと知らなければならないか、痛感しました。私は体育がびっくりするぐらいできませんが、できないなりに、ひとつひとつの動きが次にどう発展するのか考えながらやっていると、苦手意識の強い子も取り組めるようになってきました。「専門性」、単に専門的に学習しただけでは身につかないものかもしれませんね。

    Saltさんのprofessionalの記事も興味深く読ませて頂きました。音楽に限らず、子どもに関わる職についた者として、私もかくありたいと思います。あ、明日よろしくお願いします。

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